台湾南部・屏東県が同県出身で米国在住のデザイナー、江孟芝(Meng Chih Chiang)さんに依頼して制作した今年旧正月の「福袋」である「曙光升起(Dawn Rises)」が、米国のHermes Creative Awards(エルメス創作大賞)印刷物デザインカテゴリーの「Holiday Card」部門(Print Media/Design/Holiday Card)で金賞を受賞した。「福袋」とは、小さな赤い封筒に旧正月を祝うカードが入っているもので、お正月のグリーティングカードのようなもの。政府機関や自治体が制作して毎年配っている。
屏東県によれば、「曙光升起」と名付けられたこの「福袋」は、「曙」と今年の干支である「鼠」の標準中国語(北京語)による発音が似ていることを利用したもの。「曙光」は夜明けの光を表し、眼前に広がる美しい未来を象徴している。同県では、台湾が世界を尻目に新型コロナウイルスの封じ込めに成功した今、あたかも今年ゆっくりと昇っていく希望の朝日を人々に見せているようだと話している。
このデザインについて屏東県は江孟芝さんのコメントに基づき、「普通の『福袋』のように直接ネズミを描くのではなく、封筒の右上にネズミがかじった跡のような穴を開けた。ネズミの姿は見えず、ネズミが残した痕跡だけが見える。間接的な手法で大いに創意を発揮した」と解説した。
江孟芝さんも「個人的に最も好きな作品だ」というこの「福袋」では、封筒を開くとネズミがかじった跡がちょうど雲の形になり、箔押しで描かれた他の雲とそろう。そして重なる雲をくぐり抜けてこそ、朝日を見ることが出来ること(封筒を開いてこそ、中のカードにある「太陽」を目に出来る)を象徴するようになっている。
中に入れられたカードは二つ折りで、それを開くと屏東県にある大武山の稜線から昇る太陽を象徴する1台湾元(約3.5日本円)硬貨が貼り付けられている。この「太陽」は夜明けの輝きとして無数の金のラインを放っている。江孟芝さんは、夜明けの光は希望であり、光明であり、さらには美しいビジョンであり、それらは屏東県に贈る最高の祝福だとしている。